クローン病の検査にはどうゆうものがあるの?

IBDの病態・検査・治療

執筆者:堀田 伸勝(消化器内科専門医・医学博士)

こんにちは、ジーケアの堀田です。

前回はクローン病という病気の概要を学びました。

今回は私たち医師が、実際にどうやってクローン病の診断をしているのか、またその時にどういう検査が必要になるのかをご紹介したいと思います。

(1) クローン病が疑われる症状とは?

クローン病の主な症状は腹痛、下痢です。クローン病に特徴的な病変が大腸と小腸が繋がる部位に生じることが多いため、腹痛の場所はお腹の右寄りの下側に感じることが多いです。

しかしその部位に腹痛が出るからといって、必ずしもクローン病とは限りません。例えば俗に言う「盲腸(もうちょう)」の病気でも同じ場所に腹痛が出ることがあります。

そのため私たち医師は、それ以外の症状と合わせて総合的にクローン病の可能性を疑います。

例えば、腹痛に加えて、血便(便に血液が混じる)や肛門近くの痛みや膿が皮膚から出てくるような症状が加わるとクローン病の可能性を疑い始めます。

一方で典型的なお腹や肛門の症状ではなく、体重が減る、発熱、結膜炎などの眼の病気や、膝の痛みや腰痛などの関節炎として症状が出る患者さんもいらっしゃるので時に診断をするのが遅れてしまうなど判断が難しい場合があります。

さらにクローン病にしばしばみられる腹腔内膿瘍(ふくくうないのうよう)(お腹の中の膿(うみ))や、腸と周囲の臓器が炎症により繋がってしまう瘻孔(ろうこう)ができることがあります。

例えば女性の生殖器の膣(ちつ)と繋がることで便が混じる異常なおりものが見られたり、肛門近くの皮膚と繋がることで皮膚に孔が開いて膿(うみ)が出ることがあります。

以上の症状が見られた場合にはクローン病の可能性を考えて、次に必要な検査をして診断を進めていきます。

(2) クローン病の検査について

上記のような症状からクローン病が疑われた場合には、血液検査で炎症の程度を調べたり、CTやMRI検査でお腹の中に膿があるかどうか調べたり、肛門近くに病気がないかどうか調べます。

また胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査を行うことで実際に胃や大腸、小腸の一部の粘膜を観察してクローン病に特徴的な変化の有無を確認します。

特に縦走潰瘍(じゅうそうかいよう)や敷石像(しきいしぞう)といわれる状態が腸に認められた場合には、それだけでクローン病の可能性が非常に高くなります。

さらにこれらの内視鏡検査をすることで、粘膜がただれた状態になっている潰瘍を確認するだけでなく、そのような潰瘍の粘膜を取ってくること(生検検査)で採取した組織を病理検査に提出し、顕微鏡で詳しく調べることで確定した診断を進めていきます。

私たち医師がクローン病の診断において最も気をつけていることがあります。それは何かご存知でしょうか?

それは、「他の病気と間違わないようにすること」です。これは当たり前のように聞こえると思いますが、実は最も大切なポイントです。

例えば、腸の粘膜がただれた状態になっている潰瘍を生じる病気は他にもいくつかあり、もし間違った診断で治療を始めてしまうと病状が良くなるどころか、かえって悪化させてしまい、時には非常に重大な状態になってしまう危険性があります。

そのためクローン病の確定的な診断を行う際には、必要な検査を適切に、かつ慎重に進めていく必要があります。

クローン病と間違われやすい他の病気に関しては別の機会にご紹介していきたいと思います。

実際の医療現場では、残念ながらクローン病を専門として十分な経験を持って正しく診断できる医師は限られており、診断までに時間を要したり、診断ができないまま適切な治療が受けられていない患者さんがいらっしゃいます。

私たちジーケアは、少しでもクローン病に関する情報が一般の方や医療者の方々に届いて欲しいとの思いから情報提供に取り組んでいます。

また実際にクローン病と診断された患者さんやご家族などの方々が主治医の先生と良好な関係を築き、適切な治療を継続して頂けるようにサポートをしていきたいと考えています。

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堀田 伸勝

医師、医学博士。専門は潰瘍性大腸炎、クローン病など炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、などの消化器内科。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医。2015年より米国ミシガン大学研究員。2018年7月より帰国し、現在都内病院にて診療に従事。

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