潰瘍性大腸炎やクローン病を含む炎症性腸疾患(IBD)と診断されたばかりの患者さんの中には、急に担当医や管理栄養士から食事制限が必要といわれ困惑されている方も多いのではないでしょうか?
今回は、IBDと診断された時に知っておきたい食事に関する重要なポイントを説明したいと思います。
1. 自分の食生活を見直してみる
これまでの様々な疫学研究により、IBD発症に食事が影響することが明らかにされています。
特に食事の欧米化による肉類や加工食品、ファストフードの摂取増加、また野菜や果物の摂取低下がIBD発症に関与することがわかっています。
ただし、食事だけがIBD発症の原因なわけではありません。
IBDの原因には、遺伝的要因や環境要因などの複数の原因があると考えられており、複数の原因が重なり合うことによって発症すると考えられています。
食事だけでIBDが発症するわけではありませんが、バランスの良い食事は心身ともに健康でいるために重要です。
病気の発症をネガティブに捉えすぎずに、自分の食生活を見直すきっかけと考えてみて、一度自分の食生活を振り返ってみましょう。
2. 病気の状態に合った食生活を心がける
IBDは、活動期(症状が悪化する時期)と寛解期(症状が安定している時期)を繰り返す疾患で、その病期によって推奨される食事内容が異なります。
IBDの活動期では腸管の炎症が強い時期になりますので、消化管の負担が強い脂質や食物繊維などを制限する必要があります(低脂肪・低残渣食)。
一方、寛解期では、使用する食材や調理方法に気をつければ、健康な人と近い食生活を送ることができます。
ただし、何でも好きなだけ食べて大丈夫というわけではありません。
特に肉類や揚げ物、加工食品、外食などは、脂質の量が高かったり、栄養バランスが悪くなりがちなので、食べる量と頻度に気をつけましょう。
3. 食材と調理方法に気をつける
栄養成分を細かく計算するのは、管理栄養士でも大変な仕事です。無理に栄養成分を計算する必要はないので、使う食材や調理法に気をつけてみましょう。
例えば、脂質の摂取量を抑えたいときは、鶏ムネ肉やささみ、白身魚などをメインで使用し、揚げるのではなく、焼く・蒸すなどの調理法にするというだけで脂質の摂取を減らすことができます。
外食をする場合も、ファストフードや揚げ物などは避けるようにし、定食やうどん、お寿司などのあるお店だったら比較的利用しやすいと思います。
まとめ
今回はIBDと診断された時に、知っておきたい食事の重要なポイントを紹介しました。
IBDでは厳しい食事制限が必要だと思われている人もいるかもしれません。
確かに消化管に炎症がある活動期では、消化管を刺激しないために脂質や食物繊維の摂取を控えめにしなければいけません。
しかし、寛解期であれば健康な人に近い食事を食べることができます。普段の食事からバランスの良い食生活を心がけていれば、IBDに良くないとされる食べ物でもたまに食べても大丈夫です。
過度の食事制限はストレスの元になってしまいますので、あまり深刻に考えすぎず食事を楽しむことも大事なことだと思います。
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