逆流性食道炎(GERD)に対する最適な食事とは?

IBSと食事

執筆: 宮﨑 拓郎(公衆衛生学修士(栄養科学)、米国管理栄養士)
監修: 堀田 伸勝(消化器専門医・医学博士)

 

みなさまこんにちは。ジーケアの宮﨑です。今回は過敏性腸症候群(IBS)との合併も多い、逆流性食道炎(GERD)に対する食事療法を紹介していきます。

逆流性食道炎(GERD)とは?

逆流性食道炎(gastroesophageal reflux disease :GERD)の日本人の有病率は約10%(1000万人以上)と考えられています(1)。主な症状はゲップ、胸焼けや胸の痛みなどですが、喉の奥の違和感や食べ物が詰まる感じを自覚することもあります。

また過敏性腸症候群(IBS)で逆流性食道炎を併発している患者は多く、最新の研究では、3-79%程度と言われています(2)。

GERDの主な原因は、食道と胃をつなぐ部分の筋肉(下部食道括約筋)が弛緩して、胃の中の胃酸やペプシンという酵素などが食道に逆流することですが、食道の機能低下や食べ過ぎなど様々な要因が関わっていると考えられています。

 

GERDに対する食事療法

GERDに対する食事療法については、IBSに対する低FODMAP食などと比べて科学的エビデンスが確立されていないものが少ないのが現状です。よって患者さん個々人が自分の症状にあった最適な食事を模索する必要があります。

GERDの食事療法には大きく①GERDの原因となり得る食品・飲み物を取り除く方法と、②食事のパターン(構成や頻度・タイミング)を変える方法に分けられます。

 

①GERDの原因となり得る食品・飲み物を取り除く

下記の表は、原因となり得る食品・飲み物のリストです。以下の各食品を取り除くことがGERDに対して有効かという点については小規模な複数の研究は行われているものの結果にばらつきがあるのが現状です(3)。

ですがこれらの食品を取り除いて実際に症状が改善する患者も多く、食事指導ではまず最初に試してみるように勧めることが多いです。

 

GERDに影響を与える可能性のある食品

GERDへの影響主な食品
胃酸の分泌が促進される可能性l ペッパー

l コーヒー

l アルコール

下部食道括約筋を弛緩させる可能性l コーヒー (ノンカフェインコーヒーも含む)

l アルコール

l チョコレート

l ミント/ペパーミント

l 脂質を多く含んだ食品(揚げ物など)

食道粘膜に刺激を与える可能性l トマト、柑橘系などの酸性の食品

l 辛い、スパイシーな食品

 (3)および(4)のP357ページを参考に一部改変

これまでの経験から上記食品による胸焼けなどを経験したことある患者さんはこれらの食品を控えてみて、実際に症状が改善するか確認してみましょう。

 

②食事のパターン(構成や頻度・タイミング)を変える

現在は特定の食品を取り除く食事療法よりも、食事パターン(構成や頻度・タイミング)に注目した食事指導に注目が集まっています。

 

★寝る直前の食事を控える

通常食べ物が胃から腸へ移行するのに4時間程度かかると言われていることから、就寝の4時間前までに食事を済ますことが望ましいと考えられています。実際にいくつかの小規模な試験で胃酸による影響(pHの上昇)やGERD症状の減少が確認されています(5)。比較的生活に取り入れやすい食事療法と思いますので試したことがない方には勧められます。

 

★少量・頻回食に取り組む

1回の食事の量(総カロリー)を減らし、少量頻回の食事に切り替える方法です。こちらも小規模な試験(6)などに科学的エビデンスがあり、よく勧められる内容で効果を実感される患者が多い印象です。

例えば1日3食食べていたのを1日5食に分けて食べるようなイメージです。勤務されている方の場合は、間食にフルーツやヨーグルトなどを持参すると良いかもしれません。

 

★個別の栄養素の摂取

脂質や炭水化物の摂取割合や種類がGERD症状に与える影響についても小規模の試験などが行われていますがまだ一定の科学的な結論は出ていません。一方、メカニズムは不明ですが、食物繊維の摂取がGERD症状を緩和することを示唆する研究が出てきており、今後の報告が待たれます。

 

まとめ

以上のようにGERDの食事療法についてはまだ十分なエビデンスが整っておらず、それぞれの患者さんが自分の症状に合った最適な食事療法を探す必要があります。

過度の食事制限は体重減少や栄養摂取不良にも繋がりますので、栄養バランスの良い食事を心がけるとともに体重減少などを経験された場合は主治医に相談しましょう。

ぜひ主治医や担当の管理栄養士と良い関係を築きながらご自身にとっての最適な食事療法を探して頂けたらと思います。

 

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参考文献

(1) 日本消化器病学会 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015 (改定第2版) https://www.jsge.or.jp/files/uploads/gerd2_re.pdf

(2) Bortoli N, et al. Gastroesophageal reflux disease, functional dyspepsia and irritable bowel syndrome: common overlapping gastrointestinal disorders. Ann Gastroenterol. 2018 Nov-Dec; 31(6): 639–648.

(3) Newberry C, Lynch K. The role of diet in the development and management of gastroesophageal reflux disease: why we feel the burn. J Thorac Dis. 2019 Aug; 11(Suppl 12): S1594–S1601.

(4) Nelms M, Sucher KP. Nutrition Therapy and Pathophysiology 3rd Edition. Cengage Learning. 2015.

(5) Piesman M, et al. Nocturnal reflux episodes following the administration of a standardized meal. Does timing matter? Am J Gastroenterol. 2007 Oct;102(10):2128-34.

(6) Colombo P, et al. Effect of calories and fat on postprandial gastro-oesophageal reflux. Scand J Gastroenterol. 2002 Jan;37(1):3-5.

(7) Morozov S, et al. Fiber-enriched diet helps to control symptoms and improves esophageal motility in patients with non-erosive gastroesophageal reflux disease. World J Gastroenterol 2018;24-2291-9.

 

宮﨑 拓郎

米国管理栄養士(RDN)、公衆衛生学修士 (MPH)、中小企業診断士。製薬企業で新薬事業開発等経験後退職し渡米。2018年ミシガン大学MPH(栄養科学)修了。大学病院等での管理栄養士研修生を経て米国管理栄養士取得。在学中から同大学消化器内科臨床試験コーディネーターとして消化器疾患の臨床試験(低ファドマップ食など)にも従事。臨床栄養(医歯薬出版社)、ニュートリションケア(MCメディカ出版)などへ寄稿多数。ツイッターで海外食事情報発信中!

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