潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)寛解期の消化器症状に対する低フォドマップ食の効果

IBDと食事

執筆: 宮﨑 拓郎(公衆衛生学修士(栄養科学)、米国管理栄養士)
監修: 堀田 伸勝(消化器専門医・医学博士)

 

みなさんこんにちは。ジーケアの宮﨑です。今回は、消化器系のジャーナルの中で最もインパクトの高いGastroenterologyという雑誌に今年の1月に発表されたIBD寛解期に対する低フォドマップ(FODMAP)食の効果を検証した研究について紹介します。

低フォドマップ食とは?

IBDの寛解期では炎症が収まっているにも関わらず腹痛・下痢などの消化器症状が続く患者さんが多いことが知られています。しかしながらその原因はまだ解明されておらず効果的な薬物治療も限られているのが現状です。

この生活の質に大きな影響を与える「寛解期の消化器症状」に対するアプローチとして注目されているのが低フォドマップ食です。

低フォドマップ食の詳細については、以前二つの記事に詳細をまとめましたのでご興味があればご確認頂ければと思います。

低フォドマップ食基礎編:https://gcarecommunity.com/article/168

低フォドマップ食実践編:https://gcarecommunity.com/article/259

本研究の概要

今回、英国ロンドンのKing’s Collegeの研究者が低フォドマップ食のIBD寛解期の消化器症状に対する効果を検証しました。

具体的には、52名のクローン病もしくは潰瘍性大腸炎の患者を①低フォドマップ食群(27名)と、②コントロール群(低フォドマップ食に似せた食事群・25名)に無作為に割り振り、4週間の介入後の消化器症状を評価しました。

その結果、①低フォドマップ食群は②コントロール群と比べ、消化器症状が有意に改善され(52% vs 16%)、特に腹部膨満感や便の回数といった症状が改善しました。また、生活の質を示すスコアも①低フォドマップ食群で有意に高値を示しました。

それぞれの食事摂取後に腸内細菌を評価したところ、Bifidobacteriumなどいくつかの腸内細菌の減少が確認されましたが、炎症に関連するマーカーは変化がありませんでした。

今後の課題

今回の試験はこれまでの研究と比べ、エビデンスレベルが高いとされる試験デザインでしたが、これまでの研究と同様に、低フォドマップ食のIBD寛解期の消化器症状への効果を示唆したものとなりました。

一方、今回の試験結果も4週間という限られた期間の試験となりましたので、長期的にIBDに対してどのような影響があるのかについての研究が期待されます。

低フォドマップ食に取り組む際の留意点

また、実際に低フォドマップ食に取り組む場合は、制限フェーズ(フォドマップ食を全て取り除く時期)のみで終わらず、必ずチャレンジフェーズ(フォドマップが含まれる食材を一つずつ試してどのFODMAPが消化器症状に影響を与えるか確認する時期)を行い、消化器症状を避けつつもバランスの良い食事を心がけましょう。

 

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参考文献

Cox SR, Lindsay JO, et al. Effects of Low FODMAP Diet on Symptoms, Fecal Microbiome, and Markers of Inflammation in Patients With Quiescent Inflammatory Bowel Disease in a Randomized Trial. Gastroenterology. 2020 Jan;158(1):176-188.

宮﨑 拓郎

米国管理栄養士(RDN)、公衆衛生学修士 (MPH)、中小企業診断士。製薬企業で新薬事業開発等経験後退職し渡米。2018年ミシガン大学MPH(栄養科学)修了。大学病院等での管理栄養士研修生を経て米国管理栄養士取得。在学中から同大学消化器内科臨床試験コーディネーターとして消化器疾患の臨床試験(低ファドマップ食など)にも従事。臨床栄養(医歯薬出版社)、ニュートリションケア(MCメディカ出版)などへ寄稿多数。ツイッターで海外食事情報発信中!

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