IBD栄養管理

2021年3月に講談社より「潰瘍性大腸炎とクローン病の栄養管理ーIBDにおける栄養学の科学的根拠と実践法」が発売されました。

『潰瘍性大腸炎とクローン病の栄養管理 IBDにおける栄養学の科学的根拠と実践法』(杉原 康平,宮﨑 拓郎,中東 真紀,山本 隆行,堀田 伸勝,下山 貴寛) 製品詳細 講談社BOOK倶楽部
【米国の研究者・登録栄養士と日本の管理栄養士が共同執筆】 劇的変化を遂げるIBD治療において 「なぜ食事と栄養が重要なのか」 最新エビデンスに基づく答えがココにある! <著者紹介> 杉原康平 ミシガン大学消化器内科博士研究員,管理栄養士 宮﨑拓郎 (株)ジーケア代表取締役,米国登録栄養士 中東真紀 鈴鹿医療科学大学 准...

Gコミュニティでお馴染みの米国登録栄養士の宮﨑、消化器専門医の堀田、ミシガン大学研究員杉原先生、鈴鹿医療科学大学中東先生らが執筆に参加しています。

このページでは書籍の内容に加えて、書籍に寄せられた滋賀医科大学の佐々木教授からの書評や患者さん・ご家族からのコメントを紹介します。

本書の内容

本書は医療従事者向けとしてはこれまでほとんどなかった潰瘍性大腸炎とクローン病(IBD)の栄養管理にフォーカスを当てた書籍です。日本国内はもちろん海外の最新のエビデンスやガイドライン、食事指導の実践も踏まえ、IBD患者の病期別の食事療法や栄養管理のポイントが解説されています。

<目 次>
第1章 IBDの病態と治療法
1.1 IBDの病因
1.2 IBDの病状・診断・検査
1.3.IBDの内科的治療
1.4 IBDの外科的治療

第2章 ”科学的根拠”を理解するための臨床研究デザイン
2.1 臨床研究の概要と種類

第3章 IBDにかかわる食事因子とガイドライン
3.1 IBDと食事のかかわり
3.2 IBDの栄養ガイドライン

第4章 IBDにおける栄養管理
4.1 IBDにおける栄養管理の意義
4.2 IBDにおける栄養管理プロセス
4.3 IBDにおける静脈栄養および経腸栄養
4.4 IBDの周術期における栄養管理
4.5 IBDとプロバイオティクス

第5章 IBDにおける食事療法
5.1 IBDにおける栄養必要量
5.2 IBDにおける食品および調理方法の選択
5.3 IBDと食品添加物
5.4 IBDにおける諸外国の食事療法

第6章 IBD患者に対する栄養カウンセリングの実践
6.1 ナラティブに基づいた栄養カウンセリング
6.2 IBD患者に対する動機づけ面接法

付録 IBDに関する患者会のすすめ

ご興味ある方はぜひ以下のリンク(アマゾンの書籍紹介ページ)をご確認ください。

アマゾンの書籍紹介ページ

佐々木 雅也先生(滋賀医科大学医学部看護学科基礎看護学講座(生化・栄養)教授、滋賀医科大学医学部附属病院栄養治療部部長)

私が医師となった1980年代、クローン病や潰瘍性大腸炎は稀少難病として専門的な病院で治療される疾患であった。滋賀医科大学附属病院にも、県内外から重症や難治の症例が紹介されてきた。しかし、当時は、5ASA製剤としてのサラゾピリン、ステロイド剤、そして栄養療法しかない時代である。栄養療法とステロイド剤で十分な効果が得られず、手術を余儀なくされた患者さんの顔は今でも脳裏に浮かぶ。現在では、インスリキシマブやアダリムマブ、さらにはウステキマブにゴリムマブ、ベドリズマブと、多くの抗体製剤が使用可能となり、炎症性腸疾患の治療法は大きく様変わりした。しかしながら、未だに根本的な治療法が見いだされていない。すなわち、これらの抗体製剤により炎症性腸疾患患者の自然史は大きく変わったものの、やはりそれだけで解決できる疾患ではなかったのである。

私が医師になった当時に内科治療の中心であった栄養療法は、これら新しい治療薬により、その位置づけは変わったものの、やはり重要な治療法であることに変わりはない。また、16S rRNAを標的とした解析により、クローン病や潰瘍性大腸炎の病態に腸内細菌叢が深く関わっていることも明らかになってきた。腸内細菌叢が一つの臓器としての役割を持つと考えられるようになり、腸内細菌叢をターゲットとした治療法としても、栄養療法は注目されているところである。

さて、本書では、炎症性腸疾患の病態、内科治療外科治療について解説されており、さらには栄養療法の新しいエビデンスや論文も紹介されている。我々が、n-3/n-6比を0.5としたクローン病食(現在はIBD食)を導入したのは1990年代後半であるが、本書では炎症性腸疾患の遺伝子多型とn-3/n-6比の感受性との関連まで解説されているのには感銘を受けた。本書は、医師による科学的エビデンスに基づいた解説と、実際に栄養指導を行う立場の管理栄養士による解説とが見事にマッチしている。炎症性腸疾患患者に栄養療法をおこなう管理栄養士はもちろんのこと、炎症性腸疾患の診療にあたる全ての医師に是非読んでいただきたい一書である。

北海道IBD 高田様

今回発行の本、素晴らしいです。こんな本が欲しかった。コンパクトに要点がまとめられ、必要な情報を見つけやすい。細かい目次やポイントの明記など、300近い文献の整理紹介、また全ページカラーで色文字を使って重要情報に注目させるなど工夫の跡が見られます。関係者の努力、情熱に頭が下がります。ありがとうございます。

北海道IBDとIBD会館を立上げて30年+αですが、IBD会館に寄せられる患者やお母さんたち皆さんの悩み・相談は多くが食事療法で、その時ほしかったのは「科学的根拠」でした。

IBDに関わる日本の医師たちは、食事療法に否定的な批判をしても、経腸栄養の次の自宅での普段の生活に何を食べたら良いかは考えてくれませんでした。例の札幌厚生病院の「いきいきライフ」は当時バイブルみたいな騒ぎになりましたが、一石を投じたものでしょう。当時の厚生病院のコホート研究など今回紹介された文献の対象人数に比べればお遊びのようです。それでもあれは大変なブレークスルーになりました。須賀先生は「学会などでだいぶいじめられたよ」とおっしゃっていましたが。参考文献を見てやはり日本の学会はエレンタールの陰に隠れて食事療法への興味が少なかったのだと感じました。

私は職業リタイヤのあともIBD会館の相談員をやっていますが、患者さんやお母さんの悩みは変わりません。私も相談員リタイヤの年が近いですが、この本を新たなバイブルにしてもうひと頑張りできるかな?と考えています。この後のレシピ本も楽しみです。ご活躍を期待します。長文乱文にて失礼しました。

匿名(UC患者さんのお母様)

最新の情報と、科学的根拠も交えて丁寧に解説して下さってあるのでとても安心して読めます。あと、カラーで見やすいですし、押さえておきたいポイントをまとめて下さっているのも解りやすくて嬉しいです。

熟読して、日々に活かしたいと思います😄

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